マクベス 1847
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マクベス – ジュゼッペ・ヴェルディ
フランチェスコ・マリア・ピアーヴェとアンドレア・マッフェイによる台本、ウィリアム・シェイクスピア原作の四部構成のメロドラマ。
1847年版、デイヴィッド・ロートン編集の批判版(The University of Chicago Press、カーサ・リコルディ)。
初演:1847年3月14日、フィレンツェのテアトロ・デッラ・ペルゴラ。
ヴェルディとシェイクスピアの時を超えた作品に捧げられる第25回ヴェルディ・フェスティバルは、音楽愛好家や文化愛好家にとって見逃せないイベントとなることを約束します。
あらすじ
第1幕
3人の魔女の乱舞から始まる。「きれいは汚い、汚いはきれい」などという不可思議な台詞が劇の展開を暗示する。次いでスコットランド軍対反乱軍とノルウェー軍の戦場にて、スコットランド大勝利の報告を受ける国王ダンカン。戦果をあげたスコットランドの将軍にしてグラミスの領主マクベスは、 バンクォーと陣営に戻る途中、荒野で3人の魔女に出会う。魔女達はマクベスに対し「万歳、コーダーの領主」「万歳、いずれ王になるお方」と呼びかけ、バンクォーには「王にはなれないが、子孫が王になる」と予言し消える。そこへダンカン王の使者が現われ、マクベスが武勲により新しくコーダーの領主に任ぜられたと伝える。魔女の言葉通りとなったことに2人は驚き、マクベスは王になるという予言にも秘かに希望を膨らませる。
フォレスの城に帰還したマクベス達をダンカン王が迎える。ダンカン王は両将の功績を讃えつつ、息子のマルカム王子を王位継承者に定める。予言の実現を危ぶんだマクベスはある決心をする。
マクベスから事の顛末を記した手紙を受け取り、マクベス夫人は興奮する。夫を国王の座につけるべく、王の一行より一足先に城に戻ったマクベスと共にダンカン王暗殺の計画を企てる。一度は決意したものの、内心では罪悪感を覚えて及び腰になるマクベスを叱咤し奮い立たせるマクベス夫人。やがてダンカン王の一行が城に到着し、宴会が始まる。
第2幕
マクベス夫人は王の部屋付きの従者の酒に薬を盛り眠らせる。マクベスは血まみれの短剣が浮くのを幻視するが心を奮い立たせ、皆が寝静まると王の寝室へ向かう。王を殺したマクベスは茫然自失となり、「マクベスは眠りを殺した。もうマクベスに眠りはない」と言う幻聴を聞き、殺害に使った短剣を持ってきてしまい、マクベス夫人が慌てて短剣を戻しに走る。王の血で手を真っ赤に染めた2人は寝室へ引き揚げるが、マクベスは血に染まった己の両手を見て恐怖する。朝になり、貴族達が王の死体を発見した。城中が混乱にある最中、マクベスは部屋付きの従者たちを直ちに斬殺して口を封じ、王殺しの下手人と報告する。父を殺された王子たちは自分達の命も危ないと判断し、長男のマルカム王子はイングランドへ、次男のドナルベインはアイルランドへ逃げる。王殺害の嫌疑は逃げた王子達にかかり、マクベスが次の国王に指名される。
第3幕
国王の座についたものの、バンクォーの存在と、彼の子孫が王になる、という予言を恐れたマクベスは、バンクォーと息子フリーアンスに暗殺者を放つ。バンクォーは殺されるが、フリーアンスは逃げ延びる。その報告を貴族たちとの宴会の席でひそかに受けたマクベスは、バンクォーの亡霊が列席しているのを見て取り乱す。そしてマクベス夫人も、最初のうちは気丈に振る舞うが次第に不安に蝕まれていく。
第4幕
心の安定を得られないマクベスは魔女たちのもとへ赴き、予言を乞う。魔女たちは様々な幻影や魔物を呼び出し、「女の股から生まれたものはマクベスを倒せない」「バーナムの森が進撃して来ないかぎり安泰だ」との予言を引き出す。女から生まれない人間がいるか、森の木が進軍してくる事があるか、とマクベスは安堵するが、バンクォーの子孫が王になる予言について尋ねると、8人の王とその後ろにバンクォーの亡霊が笑っている幻影が現れ、マクベスの不安は消えない。その直後に有力な貴族マクダフのイングランド亡命の知らせが届く。マクベスはマクダフの城を奇襲し、マクダフの妻と幼い子どもを殺させるほか、暴政によって国内を不安に陥れ、民心は離れて行く。
イングランド王のもとに身を寄せているマルカム王子にマクベス討伐を説得するマクダフ。マルカム王子は自分は王位に相応しくないと答え、それにマクダフは立腹する。しかしそれはマクダフを試すための嘘であった。マクダフがマクベスの回し者でないと知ると、すでにイングランド王麾下のシーワード将軍の助けを得てマクベス討伐の準備をすすめていることを打ち明ける。自分の城が奇襲された知らせを受けたマクダフは、家族を守れなかった自責の念と、マクベスへの怒りに駆られる。
なお、これと並行してイングランド王が不思議な力を神から賜り、不治の病に苦しむ庶民たちを次々に全快させている様子が語られる。暴君と化したマクベスと対比させる効果と共に、王宮での上演にかかる改変であろう。
第5幕
マクベス夫人は夢遊病に冒されている。侍医と侍女が隠れて見守る中、マクベス夫人は夜中に起き出して、手を洗う仕草を繰り返す。「血が落ちない」とつぶやき、ダンカン王殺害時の言葉を喋り、バンクォーやマクダフ夫人殺害を悔い、嘆き続ける。侍医は治療の手立てはないと判断する。
マクベスの城へイングランド軍が攻めてくる。味方も次々と寝返って行き、客観情勢はマクベスに不利になるが、彼は理性をなくし、「バーナムの森が動かない限り安泰だ」、「女が生んだものには自分を倒せない」という予言により自らの無敵を信じて城にたてこもる。そこへマクベス夫人が亡くなったとの知らせが届き[3]、更にバーナムの森が向かってくるという報告が入る。実はイングランド軍が木の枝を隠れ蓑にして進軍していたのだが、森が動いているように見えたのである。予言の一つに裏切られたマクベスは自暴自棄となり、最後の決戦を求めて戦場に出て行く。城が落とされる一方で、小シーワードをはじめ次々と敵を倒していくマクベス。ついにマクダフと対峙したマクベスは「女の股から生まれた者には殺されない」と告げると、マクダフは「私は母の腹を破って(帝王切開)出てきた」と明かす。最後の望みに見放されたマクベスは、自分の運命は自分で切り開く、とマクダフと戦い、敗死する。マクダフがマクベスの首級を殺る。
プログラムとキャスト
ジュゼッペ・ヴェルディ劇場(ブッセート)
上演時間:3時間(休憩1回を含む)
マクベス – ダヴィデ・ルチアーノ
バンクォー – アドルフォ・コッラード
マクベス夫人 – マリリー・サントーロ / マリア・クリスティーナ・ベッラントゥオーノ
マクベス夫人の侍女 – メリッサ・ドッタヴィ (アカデミア・ヴェルディアーナ元研修生)
マクダフ – マッテオ・ローマ
マルコム – フランチェスコ・コンジュー (アカデミア・ヴェルディアーナ元研修生)
指揮 – フランチェスコ・ランツィロッタ
演出 – マヌエル・レンガ
美術・衣装 – アウレリオ・コロンボ
照明 – エマヌエーレ・アリアーティ
振付 – パオラ・ラッタンツィ
イタリア青少年管弦楽団(ORCHESTRA GIOVANILE ITALIANA)
パルマ・レージョ劇場合唱団(CORO DEL TEATRO REGIO DI PARMA)
合唱指揮 – マルティーノ・ファッジャーニ
パルマ・レージョ劇場による新制作
イタリア語・英語字幕付き公演