ユートピアとテオドール・クリエンツィス
AUG 2025 | ||||||
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ユートピアは、世界中の優れた楽器奏者と歌手を集めることを目的としてテオドール・クルレンツィスが設立した、オーケストラと合唱団で構成された国際的なフェスティバルアンサンブルです。ユートピアは、構造的、財政的、組織的に他の集団や機関から独立しています。通常の意味でのオーケストラと合唱団というよりは、音楽的イデオロギーを共有する人々の特別な創造的集団です。彼らは一緒に、妥協することなく、最高水準で音楽的ビジョンを音に変換します。このプロジェクトには、数多くの国の楽器奏者と歌手が参加しています。
ユートピアの最初のコンサートは2022年10月に開催され、オーケストラはルクセンブルク・フィルハーモニー、ハンブルクのライスハレ、ウィーン・コンツェルトハウス、ベルリン・フィルハーモニーでストラヴィンスキーとラヴェルの作品を披露しました。ユートピア管弦楽団はその後、ハンブルクのエルプフィルハーモニー、バーデンバーデンの祝祭劇場、アテネのメガロンコンサートホール、ミュンヘンのイザールフィルハーモニー、ローマのサンタ・チェチーリア国立アカデミーなどの会場でコンサートを行ってきました。
2023年、ユートピアはマーラーの交響曲第3番とブラームスのヴァイオリン協奏曲とチャイコフスキーの第5交響曲からなるプログラムを演奏し、パーセルの「インドの女王」とモーツァルトのハ短調ミサ曲でザルツブルク音楽祭にデビューしました。これらの作品を演奏するために、テオドール・クルレンツィスは14か国から集まった40人の歌手からなるユートピア合唱団を結成しました。彼らは全員、一流のオペラ合唱団や声楽アンサンブルのメンバーです。
2024年、ユートピアはザルツブルク音楽祭に戻り、バッハのマタイ受難曲を演奏し、ロメオ・カステルッチ演出のドン・ジョヴァンニに出演するほか、ヨーロッパの著名なコンサートホールでブルックナーの第9交響曲とマーラーの第5交響曲の解釈を披露します。2025年の初めには、ユートピア合唱団&オーケストラは、パリ・オペラ座でテオドール・クルレンツィスの指揮のもと、ピーター・セラーズ演出のラモーのカストルとポルックスに出演します。その後すぐに、オーケストラはアレクサンドル・カントロフをソリストに迎え、マーラーの交響曲第4番とブラームスのピアノ協奏曲第2番を演奏します。
プログラムとキャスト
レグラ・ミューレマン - ソプラノ
アレクサンドル・メルニコフ - ピアノ
ユートピア
テオドール・クリエンツィス - 指揮者
プログラム
ドミトリ・ショスタコーヴィチ
ピアノ協奏曲第2番へ長調作品102
休憩
グスタフ・マーラー
交響曲第4番変ロ長調
ザルツブルク祝祭大劇場
ザルツブルク祝祭大劇場(Das Große Festspielhaus in Salzburg)はオーストリアのザルツブルクにある劇場。ザルツブルク音楽祭、ザルツブルク復活祭音楽祭などの主会場としてオペラ、コンサートの両方に使用される。
祝祭大劇場はクレメンス・ホルツマイスターの設計により1960年に完成した。ザルツブルクの旧市街で大劇場を建築するための土地探しは難航したが、結局メンヒスベルクの岩盤を55,000m³ もくり抜いて建築された。ステージの大きさは世界最大級で、最大横32m、高さ9mであり、舞台裏には横100m、奥行き25mの広大なスペースが確保されている。座席総数は2179席、立ち見席はない。座席は適度な段差により、全ての座席で視界が確保され、かつバランスのいい音響である。なお、2階席後方には天井を支えるための2本の柱があり、それにより視界が一部遮られる数十席は学生席として格安で提供される。同じく音楽祭の舞台となる モーツァルトのための劇場(Haus für Mozart)(旧ザルツブルク祝祭小劇場)、フェルゼンライトシューレ とは隣接している。音楽祭以外の時期にもオペラやオーケストラコンサートが開催されている。
ザルツブルク生まれの偉大な指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンはここ祝祭大劇場で数々の演奏を指揮した。その功績を記念して祝祭大劇場の西側の広場を『ヘルベルト・フォン・カラヤン広場』と命名した。この広場に面した祝祭大劇場の2階にはカラヤンの部屋があり、ポルシェが停まっているときにはカラヤンがいることがわかった。またカラヤンの部屋が祝祭大劇場の舞台に向かって右側に位置したため、カラヤンだけは祝祭大劇場の右側から登場した。
祝祭大劇場の特徴として、オペラとコンサートホールの両方に最適な会場ということがいえる。一般にはオペラ専用、あるいはコンサート専用の会場が当然のことながらそれぞれに高い評価を受ける。しかしその両方に高い評価があることは設計年代やホールの規模から考えると驚異的でさえある。ちなみに祝祭大劇場をモデルに大阪フェスティバルホールは建設されたが、現在の出演者、観客の評価はかならずしも高くはない。このことから祝祭大劇場の国際的評価の高さは、ハードとしての劇場とともに、ソフトである、そこで催される音楽会の質、あるいは観客から、歴史までを含めた総合的なものといえる。
なお、音楽祭のチケット等には「ふさわしい服装で」との注意書きがあるが、現実には観光客が大半であることもあり現在ではそれほど厳しく考える必要はない。1階席でもスーツにネクタイ、女性であれば明るいスーツやワンピース、華やかなブラウスとスカート等で十分である。コンサートの場合はさらに制限は緩くなる。ただしスニーカー、ジーンズ、短パン、Tシャツ、カジュアルなサンダル等はどんな公演であっても避けること。ちなみに着物は正装なので本来は適切な装いであるが、実際には髪を結いあげたり、帯の分前方に乗り出す体勢になるため後ろの観客に迷惑をかけることになる。特に祝祭大劇場の座席は段差がそれほど大きくなく、中央付近では前後の席が重なるので極力避けるべきである。 とはいえ現在でもタキシード、ロングドレスの客も多く見られ、音楽祭の開演1時間ほど前になると、正面玄関の道路を挟んで反対側には、音楽祭の観客のドレスを見るための観光客の黒山の人だかりができる。